NEARセンター長挨拶
島根県立大学北東アジア地域研究センター(NEARセンター)は、おもに人文科学や社会科学の方法を用いて、北東アジア地域を総合的に研究するための拠点となるべく活動しています。北東アジア地域に含まれる国家・地域としては、中国、韓国、北朝鮮、ロシア(とくにシベリア・極東)、モンゴル、日本を想定しています。研究員は歴史学、政治学、経済学、経営学、社会学、国際関係論、思想史研究など多様な学問分野を擁して、北東アジア地域の現実的問題を超域的に捉える研究に取り組んでいます。また、研究員相互あるいは国内外の研究者と連携して、学際的かつ独創的な北東アジア地域の研究に取り組んでいます。その研究成果は紀要『北東アジア研究』を中心に掲載・刊行し、活動動向はニューズレター『NEAR News』で広く社会一般に公開しています。
NEARセンターの研究員は、大学に設置された研究機関に所属する者として、その本務たる北東アジア地域の研究に力を入れていることはいうまでもありませんが、さらに大学教育、とりわけ大学院北東アジア開発研究科での教育において、主たる指導教員として大学院生の指導に従事しています。ことに、島根県立大学における教育と研究の実質的一体化を担って、北東アジア開発研究科博士後期課程所属の優秀な大学院生をセンターの准研究員として受け入れ、北東アジア地域の研究者・専門家の養成にも力を入れています。また、国内外の専門家を客員研究員に迎えて、相互に研究上の刺激を与え合う機会も設けています。
さらにNEARセンターは、地元島根に存する日本を含む北東アジア地域への知の集積や興味をセンターの運営に有機的に取り込み、センターの研究員が地域の知と興味に学びつつ、地域社会に知的に貢献するための「NEARセンター市民研究員制度」という特色ある制度を運営しています。年に3回程度開催する全体会のほか、市民研究員と大学院生の共同研究を支援することで、北東アジア地域研究、大学院教育(人材養成)、地域貢献の三者を鼎立させることに取り組んでいます。また、地元島根や所在地の浜田市からの委託研究にも市民研究員や准研究員、国内外の大学院修了生と研究班を組織して取り組んでいます。
急速に進むグローバル化の中、複雑な歴史を背景として、多様な民族と文化が交錯する北東アジア地域は、まさにいまこの時においても変化を遂げつつ、様々な問題を現出し、それを民族、国家、地域を超えて拡散させています。このような北東アジア地域の諸問題が、従来の見方や方法、とくに一国主義的なものでは説明や分析、そして解決もできないものであることはすでに言われて久しくなりました。NEARセンターは歴史が浅く、けっして大所帯とはいえない規模の研究機関ですが、こうした北東アジア地域の諸問題に、研究員個人としてだけではなく、国内外の研究者や地域社会との連携をもって対峙していきます。
井 上 治

